HOME > ADHOUSE式 > コラム > 『熱中症から家族を守る、高性能住宅の力』エーディーハウス通信2025年秋号


コラム

2025.10.06更新

『熱中症から家族を守る、高性能住宅の力』エーディーハウス通信2025年秋号

今年も非常に暑い夏となりました。日本の夏の気温は年々上昇を続け、近年は猛暑日や熱帯夜が著しく増加しています。ほとんどのご家庭で入念な熱中症対策をされたと思いますが、実は屋外の活動時より室内で過ごす方に重点的な対策が必要なことをご存じでしょうか。これから更に厳しくなると予想される夏に対して、住まいに必要な備えや、安全な暮らし方についてお伝えします。

室内が一番危ない?!熱中症の盲点とは

最高気温が35℃を超える猛暑日も珍しくなかったこの夏は、外出を控えたという方も多かったのではないでしょうか。冷房の効いた室内に居れば安心だと油断してしまいがちですが、実は熱中症発生場所のうち約4割は住居内と最も多く、中でも寝室での発生率が高く重症化しやすいことが分かっています。就寝前に冷房を消したり、切タイマー運転を使うなどすると、断熱性能が低い家では夜間に室温がかなり上昇してしまいます。すると寝ている間に大量に発汗し、目覚めた時には既に脱水症状というケースが一番多いそうです。また、日中でも加熱調理をしている時や、パソコンなど電子機器を使用している時も注意が必要です。室温は高くなくても、このようなスポット的な放熱によって熱中症を引き起こしたという報告があります。家の中ではこうした「ついうっかり熱中症」に十分注意し、少しくらいの暑さなら大丈夫などと考えず、家中のどこでも涼しさを24時間保つようにすることが大切です。

本当の暑さは「気温」ではなく「湿度」と「輻射熱」

熱中症予防にはエアコンが絶対的に必要ですが、高騰が続く電気代も気になるところです。環境省では熱中症を予防しつつ省エネも叶うという室内の適正温度を28℃に推奨しています。これをエアコンの設定温度と勘違いしている人がまだ3割ほどいるそうですのでご注意下さい。大体の場合、室温はエアコンの設定温度通り以上になっているので、過信して運転を続けるのは大変危険です。また、室温28℃なんて正直暑すぎる、と感じている方がほとんどだと思われます。これは、実際の体感温度は気温よりも湿度と輻射熱による影響を大きく受けていることが原因です。梅雨時のように気温は低くても湿度が高い時は蒸し暑く感じ、気温が高くても空気が乾燥している時は屋外でも心地よいことは体感で分かりますね。気温が同じでも、湿度と輻射熱が高いと体感温度はそれ以上に感じ、熱中症の危険が増します。暑さの正体は、気温よりも湿度と輻射熱なのです。

暑さ指数を知って熱中症予防に役立てよう

実際の温度と違い、私たちの体が感じる温度を体感温度と言います。体感温度を知る指標に、暑さ指数WBGTがあります。熱中症のリスクを「気温」「湿度」「日射・輻射」の3つの要素から判定し、暑さ指数21℃から注意が必要と判断されます。暑さ指数の単位は気温と同じ「℃」なので混同しやすいのですが、「暑さ」をより正確に評価したものなので熱中症対策に有効です。暑さ指数WBGTを気温と湿度から知ることができる簡易表が日本生気象学会から紹介されていますのでこちらをご参照下さい。

WBGT値では、熱中症厳重警戒温度は28℃からになります。一般的に湿度が75%を超えるとどの温度でも不快に感じ始めますが、室温28℃で湿度が75%以上になると体感温度は不快を通り越して熱中症厳重警戒レベルに達しています。冷房をしていても、気温以上に暑く感じたらすぐに湿度を確認し、湿度を先に下げるようにして下さい。

見えない熱中症リスク室内では「輻射熱」にも要警戒

体感温度を決める重要な要素に、もうひとつ輻射熱があります。輻射熱とは物体から発する熱のことで、人間の体も輻射熱を発していますが、床、壁、天井からの輻射熱の方が低いと寒く、高いと暑く感じるようになっています。つまり体感温度という点から見れば、エアコンから流れる冷たい空気よりも、床、壁、天井の温度を下げる方がより重要ということになります。ただ床、壁、天井といった部材は一度熱を帯びるとなかなか温度を下げることができません。冷房していても室内の輻射熱が高ければ体感温度は暑いままで、これも熱中症発症につながる恐れがあります。壁や天井の表面温度を測定する機械はありますがあまり一般的ではないので、日常生活ではまず室内のモノの温度を上げないように気を付けることが大切です。日中は外出時でも冷房を消さない、頻繁に入り切りしないなど、モノが温まってしまう状況をつくらないようにしましょう。それでも壁や床を触ってみて熱を感じられるような場合は、住まいの断熱性能が劣っていると考えられますので、断熱改修を行うなどの抜本的な対策が必要です。

高齢者の熱中症予防には住まいの環境を整えるのが効果的

特に注意が必要なのは65歳以上の高齢者です。熱中症で搬送される患者のうち半数が高齢者で、死亡者のうち9割を高齢者が占めています。高齢者は温度感覚が低下して暑さを感じにくくなっている反面、冷えを感じやすく、冷房を嫌う傾向にあります。また体に溜めておける水分量も減っているため体内に熱が蓄積されてしまい、気付いた時には重症化している場合が多いのです。冷房の代わりに扇風機でしのいでいる高齢者の方も多いのですが、室温が高い状態で扇風機を使うと湿った熱い空気を受け続けることになり、逆に熱中症を引き起こしやすくなります。お一人暮らしの場合は熱中症の予防意識を高めるようにご家族が助言するなどして、定期的な見守りを心掛けて下さい。高気密・高断熱住宅のように、あまり冷房を使わなくても温湿度を保ちやすい住まいに整えると安心なうえに、必要以上に冷えることがないため快適に過ごせます。高齢者の方の生活の質が格段に上がります。

命を守る家高気密・高断熱で熱中症対策を

高気密高断熱の住宅が暑くないというのはどういう理屈からなのか、時々質問を受けることがあります。隙間がないということは風通しが悪いのではないか、断熱材に熱が溜まらないか等、いかにも中に熱がこもりそうなイメージが浮かぶようです。このような時はクーラーボックスを想像して頂いています。クーラーボックスの中に氷など保冷剤を入れておくと、夏の暑い日でも内側を冷たく保持できますね。高気密高断熱の家もちょうど同じような仕組みで、断熱材が外の気温と輻射熱をシャットアウト。あとは冷たい空気が外に逃げないようにしっかりとシール(高気密)することで、一度室温を整えた後はわずかなエネルギーで家の中を長時間快適なまま保つことが可能になる訳です。では湿気はどうするのかというと、もちろんクーラーボックスのように密閉したままでは排出できないので、高気密高断熱住宅では空気漏れや熱漏れのない、高度な換気計画をセットで設置します。大がかりなように思えますが、最初に完璧に計画しておけば部屋の温湿度管理は簡単です。ただ、施工の品質によって断熱・気密性能にも大きく差がついてしまうので、信頼できる業者に依頼することが大切です。高気密・高断熱住宅で家族を熱中症から守りましょう。

AD HOUSEが叶える
"理想の暮らし"

MORE