
コラム
2025.04.08更新
『⼈⽣ 100 年時代に、100 年後も幸せに暮らせる家』 ADハウス通信2025年春号
平均寿命が延び、長寿社会に突入した現代では、いかに健康で充実した生活を長く送れることができるかが重要視されています。近年ではQOL(生活の質)が健康と長寿に大きな影響を与えることが明らかになっています。特に家の中で過ごす時間の質は非常に大切です。QOLが高くなる家とは何か、一緒に考えてみましょう。
目次
生活の質を高めて健康で幸せな人生への第一歩を
最近よく聞くようになったQOLという言葉。クオリティ・オブ・ライフ(Quality Of Life)の略で日本語では「生活の質」と直訳されます。人がどれだけ満足して生活しているか、またはどれだけ幸福を感じているかを示す指標です。社会や生活環境が大きく変化して、これまでのような「物質的な豊かさ」だけでなく、「心の豊かさ」を重視するようになり「生活の質」が注目されるようになりました。とりわけ家は、私たちの生活において単に「住む場所」ではなく、心身を休めて充実した時間を過ごすための大切な空間になります。快適で心地よい環境を作り上げ、住まいのQOLを高めることが心身の健康を保ち、長寿に繋がることが分かり始めてきました。長い人生を心豊かに、健康を維持しながら楽しんで暮らせるような、QOLを意識した家づくりが必要になっています。
人生ステージの変化や不安にも対応できる家にしよう
QOLが高い家とは、住む人の生活が向上する家を指しますが、具体的には次のようなものが挙げられます
人によってはインテリアや部屋の間取り、周囲の環境の方を大事にしたいと考えることもあるかもしれませんが、それはその人にとっての最適な家のQOLとして大切にしていいでしょう。ただ基本として「快適と安全」が必ず守られ、バランスよく要素が整っていることが重要です。家のQOLとは単に家が美しく整っているだけではなく、心地よく、健康的に、そして充実感を持って生活できる空間であることが条件です。また居心地がよくても、災害時など万が一の事態からも守られるような強靭さと安心感も兼ね備えていなくてはなりません。すべての面で快適で安全であることがQOLの高い家、人と家の健康と長寿を同時に叶えられる家と言えるでしょう。
QOLと健康長寿は直結する家はQOLを高める重要基盤に
人は何が原因で死亡するのか、影響の大きいものを調べた研究では次のような結果が出ています。
最も影響の大きいものが生活習慣で約4割を占め、続いて遺伝が3割、自然災害が2割、医療・保険体制によるものが1割と、日々の暮らしや質による影響が一番大きいことが判明しています。癌が一番の死因ではと思うかもしれませんが、癌も心疾患や脳卒中と一緒で生活習慣病の一つ。その名の通り生活習慣が大きく関係しており、日々の生活の質の積み重ねが健康寿命を左右します。正しい食生活や定期的な運動、質の高い睡眠をとるのはもちろんですが、健康管理のしやすい家であることが重要です。特に寒暖差は体に大きな負担がかかり、ヒートショックによる心筋梗塞や脳卒中を引き起こす危険があるため、家の断熱性を高めて温度差をなくす工夫は絶対的に必要です。一年を通して常に一定の温度と適切な湿度を保った家では、高齢者だけでなく小さな子どもも病気しにくく、精神的ストレスも少ないことが明らかになっています。病気や障害が多くなるとQOLは低下し、長生きしても生活は辛いだけになります。単に長く生きることが目標ではなく、健康で自立した生活がどれだけ長く、楽に維持できるかが大切です。家のQOLの向上は健康寿命を延ばす大きな役割を果たします。
住宅の断熱性能義務化によって家の断熱性はどう変わる?
家のQOLを高めるには断熱性能が不可欠ですが、日本の住宅は断熱性が非常に乏しく、先進国の中で最低レベルの位置にあります。それでも今まで家のQOLが問題になることはあまりなく、断熱性能に関する規制や法律もなかったため、安価で質の悪い家が漫然と量産され続けてきました。しかし今年からようやく建築物省エネ法が改定され、4月以降に着工する全ての新築住宅(賃貸・マンションも含む)に断熱等級4以上が法的に義務付けられます。断熱等級4とは次のようなランクになります。
実は断熱等級4は平成11年に定められた古い基準で、「冬の室内の最低体感温度が8℃を下回らない程度」に相当します。最低体感温度が8℃とは正直かなり低いレベルですが、今でも既存住宅の約4分の3が断熱性能4まで達していません。世界では既に等級7が標準になっている国があるほどなのに、日本ではつい最近まで等級4が最高等級と言われ、更にここが今年から標準になろうとしています。心配されるのが、断熱性能4をやっとクリアできたような家が、法律に則ってできた高い断熱を持つ家だと称されて販売されてしまうところです。このような家に実際住んでみるとやはり寒い、暑くてたまらない、冷暖房費が思った以上にかかるなど、質の高い生活とはほど遠い暮らしになることは明らかです。これからQOLが問われようとしている時に、わざわざ最低限の仕様の家を選ぶ必要はありません。5年後には断熱等級5以上の義務化も決まっていますので、今から新築を検討する場合は将来の生活を見据えた最高断熱の仕様をお勧めします。
尚、エーディーハウスでは断熱性能等級6.5を標準としています。
断熱性能が上がるごとに家と暮らし・健康レベルは段違い
断熱性の高い省エネ住宅が義務化される背景には、国の政策である「2050年カーボンニュートラルの実現」「2030年度温室効果ガス46%排出削減」の実現を主としていますが、国民向けには家の断熱義務化によって暮らしの質がどれだけ良くなるか、メリット面を漫画で紹介しています。
ずっと高断熱・高気密の大切さを伝え続けている立場からすると、すべてが今更といったところですが、一般的にはまだ住宅の断熱性能が向上することで住環境が大きく改善され、結果的にQOLが向上することについて知られていないことの表れと考えられます。更に付け加えて言うならば、家の質が上がれば家自体も長持ちし、長期的に快適に住み続けることができるということです。長い人生を充実して生きるために、家は進化し、柔軟で機能的なものにする必要があります。QOLをさらに向上させて、豊かな人生を楽しみましょう。