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コラム

2019.08.01更新

エーディーハウス通信2019年夏号『高気密・高断熱住宅といわれる家の、本当の話。』

高気密、高断熱住宅。どの住宅メーカーも、今や当たり前のようにこの言葉を使っています。

断熱材の種類や施工方法など詳しく説明されても、何がどう違うのか、分かりづらいですね。ただ高気密・高断熱というだけでは、その住宅の本当の性能を判断することができません。比較検討するときは、その「高気密・高断熱」の内容がどんなものであるか、正しく知っておく必要があります。

気密性と断熱性能の正しい見方についてお伝えします。

断熱性能は「Q値、Ua値」で判断できる

住宅メーカーの広告で、「Q値、Ua値」という数字を見かけることがあります。弊社のホームページに掲載している物件にも、Q値、U値を表記しています。

Q値は熱損失係数、Ua値は外皮平均熱還流率といいます。難しい言葉ですが、どちらもその家の断熱性能を数字で表した、いわば断熱の成績表のようなものです。Q値とUa値の数字は小さければ小さいほど良く、断熱性能が優れていることになります。Q値とはこのような式で求められます。

Ua値は次の式で求められます。

複雑な式ですが、具体的にはどちらも床や天井、壁に使う材料の熱の通りやすさを調べ、断熱材の厚みや種類を選び、窓の大きさや建物のかたちを考えながらひとつひとつ計算して、最終的なQ値とUa値が決まります。兵庫県南西部の地域の住宅はQ値2.7、Ua値0.87という数字が基準になるので、これ以下ならばまず合格ということになります。

 

 

Q値とUa値、何がちがうの?

Q値とUa値の求め方の違いは、分母が床面積か外壁面積かということなのですが、結果は大きく異なります。

まずQ値は小規模住宅や細長い家、天井の高い家になると、計算上大きな数字が出てしまい、実際の性能よりも悪い結果が出る傾向にあります。また換気による熱損失を算入しなければならないため、計算が複雑です。Ua値は建物の形状の影響が出にくく、換気による熱損失は考えなくてもよいため、計算が簡単で良い結果(小さい数字)も出やすいのです。ただ、この換気による熱損失とは住み心地を大きく左右させるものなので、無視はできない数値といえます。換気や漏気で奪われる熱を考えない、となると断熱はできていても気密はどうか分からない、隙間はあってもよいということになるからです。断熱性能のよい材料を使ったとしても、なぜか寒い家が出来上がってしまいます。つまりUa値では実際の温熱環境が正確に分からず、小さいUa値であっても室内間で温度差が生じたり、冷暖房が効かないという事態が起こる可能性があります。

住まいの温熱環境を知るためには、すべての熱損失を算入している、Q値で判断することが必要です。

Ua値だけでなくQ値も必ず確認しよう

ではなぜQ値とUa値の両方をわざわざ書く必要があるのか、疑問に思えますね。

実は2013年までは、このQ値を用いて住宅の断熱性を判断していました。しかし現在の国の省エネ基準では、Ua値で評価するよう定められています。そのため、今はUa値しか表記していない住宅メーカーもたくさんあります。なぜ換気による熱損失を省いたUa値だけでよいことになったのか分かりませんが、厳しいQ値を基準にしてしまうと、もともと気密性をとりにくい鉄骨系の住宅メーカーの苦戦が予想されるので、配慮したのではないかと言われています。また高い気密性を基準として求められると、計算ができない小さな業者や、気密施工に自信がない工務店、ローコスト住宅などが費用の面でついてこれなくなります。これでは住む人側のことは全く考えていない基準だと言えます。

住宅販売のパンフレットでUa値しか表記がない場合は、Q値も算出してもらうようにお願いしましょう。

住宅を扱う業者なら、Ua値からQ値への換算は容易にできるはずです。また、パンフレット上の数字は、そのメーカー仕様で一番よい数字が出るように設計された、あまり現実的ではないモデル住宅で計算されている例がほとんどです。

Q値は間取りや窓の大きさ、形状によって大きく変わります。実際にはご自身のプランや仕様、土地の状況まで含めて計算してもらい、正確なQ値を確認することが大切です。

 

国が目指す省エネ基準を満たしていれば大丈夫?

そもそも、高気密・高断熱って、そんなに重要なことですか?とのご質問もよく受けます。

住宅の高気密・高断熱化は、住まう人の健康と省エネルギーに貢献する大切なもの。これからはより高い省エネルギー性をもつことが求められます。

国の省エネ基準によると、兵庫県南西部の地域では、Ua値0.87以下(Q値に換算で2.7以下)にしましょうという一応の目安がありますが、実はそれほどたいしたレベルではありません。平成11年度基準でいう等級4の住まいであれば、Ua値0.87は達成しています。

正直なところ、Ua値0.87程度では足元が寒く、トイレや浴室などでは温度差を感じるでしょう。この断熱性能で家全体を冷暖房するとしたら、相当な冷暖房エネルギーを消費するうえ、快適性にもほど遠いものになると思われます。これでもUa値が0.87を下回れば「次世代省エネ基準クリア」と言えてしまい、それがさぞ高い断熱性能があるかのように聞こえるのですが、このくらいの基準は達成できて当然です。高い気密と断熱性をもたせるには初期費用(イニシャルコスト)がかかりますが、その後の光熱費(ランニングコスト)を考えると、Ua値0.56以下(Q値1.9)にすると収支のバランスが取れ始めます。さらに家全体を24時間冷暖房しても省エネかつ快適というレベルになると、それ以下の数字であることが望まれます。

隙間風ゼロ、本物の高気密・高断熱の家へ

住宅の気密と断熱の性能を上げれば、ヒートショックや熱中症などの事故を防ぐことができ、かつ省エネルギーにもなるはず。エーディーハウスでは以前から高気密・高断熱仕様について研究と経験を積み、確実に実践してきました。Ua値は0.5を社内基準に設定して、高い性能を保持。一軒ごとに年間の暖房エネルギーや日射取得熱、CO2排出量まで計算し、必要な断熱性能を提案しています。言葉だけではない、本物の高気密・高断熱仕様。見学会などで是非、その心地よさをご体験下さい。

編集後記

祝・ご即位。

令和という新たな時代への誓いとして、編集者Y、ついに本格的ダイエットを始めました!いえ、春休みにインスタ映えスポットで娘に撮ってもらった自身の姿があまりにもひどく、我ながら衝撃で(汗)まずはカロリー制限と、手始めにウォーキングを・・・ちょっと恥ずかしいから夜ね。その方が涼しいし。

毎日同じ時間、ほぼ同じルートを30分。すると、いろんなことが分かってきます。

例えば、この家は今誰かいるのか否か。いつも電気がついて比較的明るいお家が門灯まで消していたり、お庭にいるはずのワンちゃん達までいないとなると、旅行かな?と想像がついてしまいます。特にゴールデンウイーク中はよく分かりましたよ。

こんな素人(?)が見ても留守か在宅か一目瞭然なのだから、気を付けた方がいいなと思いました。

まず、真っ暗なのはよくない。電気代の心配より、やはりどこか付けておく方が安心です。

今はスマホを使って電気のオンオフを遠隔操作できる照明もあるから、留守がちのご家庭は対策した方がいいですね。

それから格子付の窓やルーバー窓を換気のつもりで開けたままにするのも危ない。格子があるから大丈夫と思うかも知れませんが、プロならドライバー一本ですぐ外すし、ルーバーも隙間があると一枚ずつ簡単に引き抜けます。網入りガラスというのも、火災時の飛散防止のためなので、ハンマーなんかで叩いたら普通に割れます。死角にある網入りガラスには、専用の防犯フィルムを貼りましょう・・・

そもそも、高気密高断熱住宅で24時間換気、きっちり閉められているお家ならそれだけでも空き巣は諦めてくれるだろうし、お家の中の空気も淀む心配なし。

やっぱり「隙間」はじめ、「何かと隙が見える家」は早急なお手入れが必要、と人さまの家をジロジロ眺めて勝手に考察してました。

アカンこれでは編集者が完全に不審者だわ。そんなこんなでダイエット開始8週間、やった6キロ痩せたよ!スカートが入るようになった!記念に自撮りをパシャ。すると背景に写った居間のゴチャゴチャが気になった(汗)次はここの断捨離ですね。たまに客観的な視点に立ってモノを見てみる、とても大切です・・・。

AD HOUSEが叶える
“理想の暮らし”

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