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一級建築士 匠の視点 ブログ

2026.01.31更新

1枚の写真で語るシリーズ.7「突板連続壁」

気配を消し、静寂をつくる移行ゾーン「突板の壁」

姫路市の鉄骨3階建てのリノベーション物件です。鉄骨造リノベーションは階段位置を変えるのは大変なので、階段位置は固定しプランしました。断熱住宅では、私が設計を始めた30年前から廊下は作るな、全館温度は同じだからといった意見が多い。私もそれには賛成だが、品のある少し高級な住宅においては移行ゾーンとして取り入れている。

写真左手に広がるダークトーンの壁面の意匠です。

深く落ち着いた色合いの天然木が、玄関から奥へと吸い込まれるように続いています。一見すると、木材そのものの重厚感を活かした、ただ一枚の長い壁パネルに見えるかもしれません。しかし実はこの中には、居室への入り口や収納扉といったいくつもの「機能」が潜んでいます。
私たちが目指したのは、徹底的なノイズの消去でした。

通常、ドアを設ければそこには「枠」が生まれ、丁番が見え、ハンドルという突起物が現れます。それらは生活に必要な機能ではありますが、同時に視覚的なノイズとなり、空間の連続性を分断してしまいます。そうした要素を極限まで削ぎ落とし、壁と扉の面(ツラ)を一切の段差なくフラットに揃えること。

枠の存在を消し去るための隠し丁番の選定、極限の寸法で管理された目地(クリアランス)。これらはすべて、設計図の上だけでなく、職人の極めて高度な技術と、コンマ数ミリを調整する根気があって初めて実現したものです。

移行ゾーンをつくる目的は、リビングなどとは空間の質を変えることで、空間が締まる。
上部から強めのダウンライトでリズムよく壁際を照らす。全体を暗くし、光を際立たせる設計です。

しかし、あまりに連続した壁にしかみえないために、実は来客トイレの扉があるのですが、場所わからないので、後から扉上に小さなトイレサインを貼り付けています。嬉しい誤算。写真でわかるでしょうか。左手前の段差のある扉ではありません。

 

 

 

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