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コラム

2014.04.01更新

ADハウス通信 2014年春号「大気汚染から暮らしを守ろう」

大気汚染から暮らしを守ろう

いよいよ春本番。 明るさが増す暖かな日差しに心が和みますが、春の空気には花粉や黄砂、それに加えて近年ではPM2.5など、ありがたくないものが多く含まれています。普段健康な方でも、大気汚染物質の濃度が高い日は外出時にマスクなどの対策が必須と言えるでしょう。
同時に、住まいの中の空気も汚れないように気を付けたいところです。今回は住まいの空気の質を良好に保つための秘訣についてお伝えします。

PM2.5って一体なに?

大気汚染の原因となり、健康への被害が心配される微粒子状物質PM2.5が大きな社会問題となっています。

PM2.5とはどのようなものかというと、「大気中に浮遊する直径2.5μm(マイクロメートル)以下の微粒子状の物質」で、物質の種類は関係なく、2.5μm以下の大きさの物質を全てPM2.5と呼びます。 髪の毛の太さの30分の1という非常に細かい粒子のため、肺の奥深くに入り込みやすく、呼吸器や循環器に悪影響を与えると言われています。それが有害な成分のものであれば尚更危険だということです。

PM2.5は、物の燃焼で出る煙や、自動車などの排気ガス、土壌や火山から撒き上がる粒砂などが原因で発生します。また硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)等のガス状の大気汚染物質も化学変化で粒子化するとPM2.5になります。毒性の強いものもあれば害の少ないものまでありますが、今何が飛んでいるのかはすぐには分かりません。
PM2.5濃度の注意報が出た時は「何が飛んでいるのかは分からないから気をつけよう」という姿勢でいた方がよいと言えます。

PM2.5は 髪の毛の太さの30分の1という非常に細かい粒子

PM2.5 の大きさ比較スギ花粉はPM2.5 粒子よりも大きくて重いので床に溜まるが、PM2.5 粒子は軽いので長時間浮遊しやすい。(日本禁煙学会資料より)

24時間換気とPM2.5について

春になると偏西風にのって中国から黄砂や炭素などのPM2.5が大量に飛来する訳ですが、中国から飛んでくるものが全てという訳ではありません。国内でも人口が多い場所や工業地帯などは以前からPM2.5が多く、季節を問わず漂っていたものです。
ただ日本では排気物に含まれる有害物質について厳しい規則を設けているので、深刻な大気汚染とはなりませんでした。
但し近年は中国からの飛来量が増え、有害なものが含まれている可能性があります。

PM2.5濃度の高い日は、家の中に汚染された空気が入らないように気を付けなければなりません。
そうなると、24時間換気システムにお住まいの方では、換気システムを止めた方がよいのでは?と心配になる方もいると思います。しかし結論から言うと、24時間換気システムは止めないようにして下さい

24時間換気システムは、窓を開けずに機械の力で部屋の空気を入れ替える強制換気です。 高気密・高断熱の住宅では自然換気が難しいため、シックハウス防止策として平成15年7月に全ての新築住宅に義務付けられました。24時間換気システムは住まいの汚れた空気を排出させることが目的なので、止めてしまうとハウスダストや湿気、臭気がいつまでも室内に残留してしまいます。高気密・高断熱の住宅にとって、住まいの空気を良好に保つために必要な設備ですから、止めないように注意して下さい。
高気密・高断熱の住宅では、隙間からPM2.5が室内に入り込むような心配はないので、24時間換気システムによるPM2.5の自然流入量についてはそれほど神経質になることはありません。
それでも気になると言う方は、PM2.5対策した新型の給排気扇が出てきていますし、従来の給排気扇用には対応するPM2.5用フィルターが販売されていますので、設置を検討されてもよいでしょう。
ただ、PM2.5の大きさを改めて確認してみると、1㎜を1000分割したうちの2.5個分という細かさです。このような超微粒子をフィルターなどで効果的に捉えられるのか、今のところ確証はありません。それほど簡単には済まないだろうことを心得た上で導入するようにして下さい。

いずれにしても、PM2.5濃度が高い日は窓を開け放したりしないような配慮は当然必要ですし、台所などの局所換気扇は使用時以外は適宜止めるようにした方がよいでしょう。自然給気口がある場合は給気扇に取替することをお勧めします。

まさか家の中から、PM2.5?!

PM2.5とは外から飛んでくるものというイメージが強いのですが、実は住まいの中からも日々発生しています。

例えば調理や燃焼型暖房器(石油ストーブ等)で物が燃えれば煙が出ますし、人体から排出される炭酸ガスも、有害ではなくとも微粒子状物質の一つです。
また数年前までよく聞かれたシックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒド(揮発性有機化合物VOC)は室内から発生する有害なPM2.5の代表格です。現在ではホルムアルデヒドなどVOCを含む建材や接着材の使用については厳しい規則があり、建材にはVOCの放散量の順にF☆で表わす等級が設けられています。F☆☆☆☆が一番VOCの放散量が少ない材で、弊社でも天然材の他に使用する材については必ずこの等級のものから厳選しますが、それでもVOCの発散を完全にゼロにするのは困難なことです。
なぜなら、住宅建材にはVOCの使用規制がありますが、家具については規制がなく、家電、化学繊維のカーテン、プラスチック製品や芳香剤、殺虫剤、衣類用の柔軟剤などからはVOC類の化学物質が発散されており、建材に何が使われようと住まいの中には有害なPM2.5の発生源は無数に存在するからです。

だからこそ24時間換気システムは止めないことが重要で、家の中にも正体がはっきりしない化学製品を置いたり、使わないように気を付けた方が望ましいと言えます。

例えば衣類用柔軟剤でも、最近は香りの強いものがよく売れているようですが、柔軟剤に使われる合成香料は石油原料の化学物質です。
特に香りが強いタイプは微香性のものと比較して3倍以上のVOC類を発散しているとして、部屋干しの際には注意するように国民生活センターでも呼びかけています。

よい環境で過ごすために大切なこと

また、最も身近で最も危険なPM2.5といわれているのが煙草です。
煙草の煙は60種類もの発がん性物質が含まれる有害なPM2.5である上に、ほんの一本でも多量のPM2.5を排出します。例えば喫茶店の喫煙席では、北京の最もPM2.5濃度が高い日と同じレベルの濃度にまで達しています

こうなると外のPM2.5の濃度を気にしている場合ではなく、室内の空気をまず綺麗にしなくてはなりません。強制換気はもちろんですが、空気清浄機などの対策も必要になります。
煙草の臭いは消臭剤である程度消すことはできても、壁などに付着した成分までは取り除けないので、PM2.5が累積残留していきます。煙草を日常的に吸われる方の住まいでは、より換気に気を付け、定期的に壁紙を取り替えるなどした方がよいでしょう。

住まいというのは、外界から身を守る安全なシェルターという存在でなければならないと考えます。外の大気がどんな状態であっても、家の中の空気は良好に保ちたいものです。 まずは住まいを高気密化し、悪影響の外気を遮断した上で計画的な換気を行うことが大切です。住まい手側も、家の中から空気を綺麗にするという意識を持って暮らすことが大切だと言えます。

日本におけるpm2.5測定値(ug/m3)

・日本屋外(郊外)の平均 20
・喫煙者のいない家庭 19
・完全分煙店の禁煙席 32
・喫煙者のいる家庭 47
・自由喫煙パチンコ店 148
・完全分煙店の喫煙席 256
・不完全分煙店の禁煙席 336
・不完全分煙店の喫煙席 496
・自由に喫煙可の店 568
・自動車内で一人喫煙 100

北京で最もPM2.5濃度の高い日の値は500μg/㎥、日本では大気のPM値が70μg/㎥を越えると注意報が発令されるレベルであることを考えると、煙草を吸う室内のPM値は環境基準越えの異常事態と言える。屋外よりもPM値が高い時がよくあることには気付きにくい。(熊本禁煙フォーラム資料より)

~編集後記~

去年の秋に車を買い換えたのですが、困ったことに我が家の末っ子ご長男、新車に乗るたびに目が痛い、痛いと大騒ぎ。恐らく化学物質過敏症の類ではなかろうかと思います。元々おデリケートな体質で、今までも旅行の後などに目を痛がることが多く、眼科で診てもらうと何かしらのアレルギー反応だとのこと。自宅とは違う種類の微生物やら化学物質にさらされて、アレルギー症状を引き起こしてしまうようです。
対策としては害になる空気に触れないことに尽きるので、彼が車に乗る時間はできるだけ短くなるように考えるし、寒くても窓を開けたまま走ったり。車内もマメに拭いてるし、ホルムアルデヒド除去剤というのも置いてます。それでも「目がぁ~」と叫ぶ時があり、可哀想だけど少々メンドクサイ(爆)
しかし他の家族は無事とは言え、車内にそれだけ化学物質が漂っている証拠なんでしょうから、我々だっていい気持ちでないですよね。きっと普段から知らぬ間にいろんな場所でいろんな悪~いモノを吸って生きているんだろうなぁと思います。現代社会に生きている以上ある程度仕方がないのですが、ただ黙って受け入れるばかりでは芸がないというもの。免疫力と共に、体の解毒機能を高めて有害物質を排出するとよいそうですよ!

解毒作用のある食物はアブラナ科。春キャベツ、菜の花、ブロッコリーなど、まさに旬の野菜たちですね。昔から春は解毒の季節と言われているそうです。代謝が鈍る冬の間に体に溜まった老廃物や有害物質を排出する動きが高まるので、春は解毒にもってこい。それに役立ってくれるお野菜が季節に合わせてちゃんとできるとは、自然とはよく出来てますね。旬のものって本当にありがたい、喜んで頂きましょう。そう言えば長男は大の野菜嫌い。だからダメなんじゃん!(違う?)さ、今日も健康目指して食事道場。

AD HOUSEが叶える
“理想の暮らし”

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