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コラム

2021.04.01更新

『省エネ法改正、「ご注文は省エネ住宅ですか?」』エーディーハウス通信2021年春号

2021年4月から、「改正建築物省エネ法」(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)が施行されます。これにより、住宅を新築・増改築するお客様に対して、建築士はその住宅が省エネ基準を満たしているかどうかを説明することが義務化されます。直接関係する方は少ないかも知れませんが、この法律ができた背景を知ると、日本の住宅性能の現状や、本当に価値のある省エネルギー住宅とは何かが分かります。住まいづくりを考えるすべての方に知って頂きたいお話です。

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改正建築物省エネ法って、

改正建築物省エネ法って、どんな法律?

「改正建築物省エネ法」とはどんな法律かというと、「これからは最低でもこれ以上の断熱性能がある住宅を建てて下さい」という国からのお願いのようなものです。近年加速する地球温暖化の対策として、温暖化の原因であるCO2の排出量を削減することが世界中で求められています。特に日本のCO2排出量は世界で5番目と他の先進国と比べても非常に多く、中でも一般家庭から排出されるCO2量が全体の16%を占めていることから、暮らしに使われるエネルギー消費量を減らすことが必要です。しかし何年も前から課題になっているにも関わらず、家庭からのCO2削減が一向に進まない原因に、日本の住宅の断熱性が悪すぎてエネルギーを無駄使いしている点が挙げられています。そこでこれから建てられる住宅は国が定めた基準以上の断熱性があり、冷暖房や給湯、照明など生活に使うエネルギー消費量をできるだけ減らしていきましょうという目標が決められたのです。

省エネ法で私たちのすまいと暮らしはどう変わる?

省エネ法が改正されると、家を建てる時の条件が厳しくなるのかと心配されるかもしれませんが、建築主様の側は何の義務も縛りもありません。ただ、家を新築(または増改築)しようとする時に、建築士から「これからお客様が建てようとしている家は国の省エネ基準を満たしているか、そうではないか」という説明を受けるだけです。建築士側は設計の内容を説明し、根拠となる図面や資料を15年保管する義務が生じます。建てようとする家が省エネルギー基準に合っていない場合は、どう変更すれば適合するようになるかの説明を聞き、あとはお客様が省エネ基準に対応させるかどうか決めてよいことになっています。つまり、納得の上ならば古い省エネ基準の家でも建てて構いませんよ、という驚きの「判断は消費者に丸投げ」方式です。なぜこのような法律がわざわざ施行されるのでしょうか。

実は昨年の2020年度から、住宅の省エネルギー基準は義務化される予定でした。必ず省エネ基準以上の家でなければいけなくなるはずでしたが、施行直前で白紙撤回されました。その理由には、「建築費用が高い省エネ住宅は売れにくいから、住宅産業が不況に陥る」「省エネ設計・計算できる住宅業者が少ない」「省エネは家電の使い方次第で達成できる」という、一部の業社の根強い反対の声に押されてしまったことにあります。しかし国際的に見ても日本の住宅の断熱性能の低さは目に余るものがあり、そのせいでCO2削減が進んでいないと世界中から冷ややかな視線が注がれているのが政府としては気になります。そこで、省エネ基準住宅を国民に強制するのは様々な事情があって難しいけれど、建築士の説明を義務化するので話を聞いてくれればいい、というかなりゆるめで不思議な法律ができたのです。

 

省エネルギー性能って、どのくらいあればいいのだろう

ただ、国が定めた省エネ基準もたいしたレベルではありません。兵庫県南西部では、断熱性能を表すUa値(外皮平均熱還流率)は0.87、日射遮蔽性能を表すna(イーターエー)値は2.8となっていて、どちらもこの数値より小さくなればよいことになっています。これは平成11年度基準と呼ばれるかなり昔のレベルで、断熱性能等級4に相当します。正直この程度の断熱では不十分で、相当な冷暖房エネルギーを消費するうえに快適性にも程遠く、とても省エネとは言い難い家ができあがります。Ua値、na値については専門的分野のため、建築士が責任をもって設計し、詳しいご説明を差し上げるものですが、計算は非常に複雑で時間がかかるため、対応できる建築士がいないという業者もまだ半数存在します。なお、建売住宅やマンションなどは既に出来上がっているものなので、省エネ性能の説明を聞く必要はなく、業者からの説明もありません。このため、断熱性が劣る住宅はこの先まだ多く流通し、お客様の方も断熱性や省エネ住宅について詳しく知る機会がないまま購入するというケースが後を絶たないのではと危ぶまれています。これからの時代、エネルギーを無駄使いしないレベルの断熱性のある家を作るなら、Ua値の目安は0.56です。これで初期費用(イニシャルコスト)と、その後の光熱費(ランニングコスト)のバランスが取れるようになり、さらに快適性を加えるとその数字以下であることが求められます。「断熱性能は○〇級相当」という曖昧な言い方や、自社オリジナル基準達成などと称して明確な数値を示せないような住宅は信用しない方がいいでしょう。

 

真の価値のある本物の省エネルギー住宅にしよう

いまだに、高気密・高断熱の省エネ住宅は高いというイメージがあり敬遠されがちです。また、そこまで高性能でなくとも十分だという方もいます。しかし、高気密・高断熱化の住宅は建築にかかる費用以上の多くのメリットをもたらします。

より高い断熱性能を持たせると確かに建設費は上がりますが、光熱費などのエネルギーコストを抑えることができるので、ローンを払い終える頃には省エネ住宅の方がプラスに転じます。国土交通省の資料によると、同じ場所で同じ面積の住宅を、平成4年基準と平成28年基準で建てて比べてみた場合、平成28年基準の方が25%の光熱費削減、それより一歩進んだZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、Ua値0.6以下)になると約半分になります。また、平成4年省エネ基準で建てた住宅をのちにリフォームして平成28年省エネ基準にした場合、約2.7倍の費用がかかるため、新築時に高い省エネ化をした方が費用を抑えることができます。エーディーハウスでは以前よりUa値0.5を社内基準に設定し、高い性能を保有した住まいづくりをしています。これから建てようとする家がどんな性能なのか、費用の収支はどうなのか、きちんと説明できる会社で家づくりをすることが大切ではないでしょうか。家は出来上がっているものを買うのではなく、一緒に考えて作り上げるものです。大切な住まいが最初から「型落ちモデル」にならないよう、将来を見据えた本物の省エネルギー住宅にしませんか。

 

編集後記

一年前にダイエット成功して以来、順調に体重をキープしていたのに、年末年始に気が緩み食べ過ぎたのとコロナ自粛が重なりあっという間に2キロ増。ウォーキングをサボった日も多かったので、その分を挽回すべく当分の間ロングコースでの競歩を自らに課しました(汗)姫路城周辺まで歩くことが多くなり気づきましたが、本当にたくさんの猫がお城周辺で暮らしてますね。大体いつも同じ場所に、同じ猫ちゃん。それぞれのテリトリーなんでしょう。お互いソーシャルディスタンスを保って生活しているようです。編集者Yが近づいても知らん顔ですが、ボランティアらしき人がやって来るとちゃんと心得ていて、四方八方から猫ちゃんたちが集まってくる。耳カットされているコが多いので、去勢手術されて元の場所に戻され、地域猫として生きているのでしょう。

それにしても。ご飯はこうして貰えて不自由ないかもしれないけれど、この寒さの中で暮らすとはどんなに過酷なことか!家で飼われている犬猫の寿命はとても長くなっていると聞きました。特に犬。近年、室内飼いの犬が増えたお陰だそうです。編集者も実家にいた頃に柴犬系雑種を飼っていましたが、室内犬だったせいかやはり長寿で、18歳で大往生しました。もとは寒空の下でボロボロの姿で彷徨っていた子犬でした。保護当時は獣医さんにこの子は外で飼ったら死ぬと宣告されるくらい衰弱しきってましたが、その後は大病を患うことなく健康で長生きしてくれましたね。

どんな毛皮をまとった動物だろうと、やはり寒さは体に良くないんです。暑い季節も辛いはず。過酷な環境は寿命に直結します。この冬は本当に寒さ厳しい日があったけど、あの猫ちゃんたち無事に過ごせたかな。ぬくぬくとした場所で食べ過ぎて太っただなんて、申し訳なさ過ぎて猫に合わせる顔がない(?)無責任なエサやりはダメだろうし、引き取ってあげることもできないなら、せめて暖かい猫ちゃんハウスを提供してあげられないだろうかと考えてしまうのでした。

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