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一級建築士 匠の視点 ブログ

2024.11.19更新

冬:床下エアコンと、夏:高所エアコンで、ローコストな全館冷暖房

なぜ床下エアコンを使った全館冷暖房を選ぶのか?
それは、他の全館冷暖房システムと比べて
冬の「足元から暖かい」を最も低コストで実現できる全館暖房だからです。

床下エアコンを使った全館冷暖房は効くの?ほんとにいいのか?
2回のコラムで、深堀りいたします

 

床下エアコンを使った全館冷暖房とは?どんな仕組み?

~冬~
床下に設置したルームエアコンから温風を基礎内に吹き出して床面を温めます。
そして各部屋の窓際に設けられたガラリから暖気を送り
緩やかな対流で家全体を温めます。
エアコンで暖ためられた空気は廻より軽く上昇します
縦方向の温かい空気の通り道を作ってあげることで
床下基礎内に吹き出した暖気が、床ガラリから出て、上昇していって
全部屋に快適な暖房空間をつくることが可能です

~夏~
冷たい空気は重く
エアコンから吹き出た冷気は下に落ちることを利用し
家の中で極力高い位置にルームエアコンを設置します
エアコンから家全体に冷気を分配し家全体を冷房します
冷たい空気は重く下にたまりやすいので
ゆるやかに、排熱の上昇気流をうまく利用して
空気を循環させる工夫をつくります

 

床下エアコンと高所エアコンで全館冷暖房をするための建物条件

①断熱等級6以上のをクリアさせて、尚且つ高気密を保てる性能であること
空気を介した冷暖房の為、外部から熱の影響を受けないよう
隙間による熱の出入りを防ぐ高気密が必須です。
高気密にした上で、等級6以上の高断熱にすることが
全館を快適に保つ冷暖房をする上で絶対に必須な条件となります
性能を遵守することで
過剰に冷暖房をする必要もなくなり
電気代の節約にもつながります

②縦方向の空気の通り道を考え、冷気暖気を循環させる
夏、冬ともに、エアコンから一方向だけの空気の流れではなく
吹き出た空気が温度を回収して、
またエアコンに戻りやすくする
循環できるような計画が重要になります
例えば2階建ての場合、
吹き抜けや、階段、すのこ床などで工夫して、
縦方向の空気の流れも作ります

③暖気が流通しやすい基礎計画
冬は床下に設置したエアコンからの暖気が
床下空間を通って、家全体を温めるので、
床下空間も室内と同じ性能、断熱空間にする必要があります
基礎の立上がりを減らして、空気が流れるようにするために
基礎梁を地中梁にします
床下エアコンの計画は、
基礎設計が最も重要

床下エアコンと高所エアコンの全館冷暖房のメリット・デメリット

・メリット

①最も低コストで全館冷暖房が可能
最も低コストで冬の快適にふさわしい、床暖房に近く全館暖房をできるのが最大のメリット
夏冬それぞれ1台だけ運転して全館冷暖房ができるので
エアコン台数が2台設置で済みます

②冬は全部屋足元から暖かく、エアコンの気流も感じず快適
冬は基礎内のエアコンから吹き出して
暖気は床下空間から窓際の床ガラリを通ります
エアコンからの直接の風あたりがありません
縦方向の空気の通り道を考えて計画している為
極端にどこかの部屋だけ寒い…なんてことはなく
冬の快適さは床暖房にも匹敵します。

③床材を自由にセレクトできる
床暖房と違いは、床を直接高温で暖めるわけではないので
床材のセレクトに制限がありません
無垢のフローリングやタイル、塩ビシート等お好みの床材をお使いできます
さらにエアコンを目隠造作することで
エアコンが直接みえないので意匠性がUPします。

デメリット

①エアコンを稼働させる時期が長い
夏冬ともに1台ずつのエアコンで全館冷暖房します
その為、快適な温度になるまでに少し時間がかかります
冬でいうと、床下空間全体が快適に温まるまで4~6日程度かかるので
寒くなる季節の少し前からエアコンを運転させる必要があります
一度基礎内があたたまると一定し、後は微・弱運転になります

②エアコンの耐用年数が短いかもしれない
夏冬とも、1台のエアコンで全館冷暖房を行うため
複数台を入り切りして使う壁掛けエアコンと比べると
連続運転時間が長くなるので耐用年数が短くなる可能性があります

 

床下エアコン高所エアコンの全館冷暖房と他の冷暖房システムとの違い

天井カセエアコンと床下エアコンの違い

①冬の快適さの違いは床下エアコンに軍配
天カセットエアコンは、天井からの吹き出しの為
床下エアコンのように足元から暖かい空間はつくることは難しい

②イニシャルコスト
例えば26坪平屋床下エアコン物件で
床下エアコンの仕様から天井カセット型エアコンに変更すると
+60万円(ダクト配管や本体機器等)といったイメージです
本体機器の取り換えは
床下エアコン10畳用壁掛けエアコン1台15万程度、高所エアコン14畳用が17万程度あわせて29万くらい
に対し
天井カセット型エアコン1台35万円程度なので
耐用年数によりますが、同等に近い

③ランニングコスト
床下エアコンと同じく長時間連続運転となる為
ほぼ同じといえますが
天井カセットエアコンよりルームエアコンの方の効率的COP値が高いため
若干 床下エアコン高所エアコンのほうが安いといえます

シルクライン蓄熱床暖房と床下エアコンを使った全館暖房の違い

①冬の快適さはどうか
シルクライン蓄熱床暖房とは、
床下にコンクリートを敷きつめ、その中に温水が通るパイプを配管し全体を温めるといったものです
詳しくはこちらをご覧ください。<シルクライン蓄熱床暖房についての記事はこちら>
床下エアコンに比べて輻射熱が膨大であり、気流も全くないため
快適さはシルクライン蓄熱暖房が床下エアコンを上回ります。

②イニシャルコスト
シルクライン蓄熱床暖房の場合、コンクリートや温水が通るパイプの配管、ボイラー等、建築工事+設備費用が必要となってきます
例えば26坪平屋床下エアコン物件を、シルクライン蓄熱床暖房に変えると+200万円程度といったイメージです

③ランニングコスト
床下エアコンと同じく長時間連続運転となる為、ほぼ同じといえます

④その他の違い
シルクラインは暖房時に運転音がまったくしない。床下エアコンは室内機付近は運転音がでます
静粛さはシルクラインに軍配

次回は、もう少し踏み込んだ技術的な面,実際にエアコンをどのように選ぶのか,弊社オーナー様のご感想についてUPします。ぜひ今回と合わせてご覧ください。

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