2025.12.31更新
玄関を開けた瞬間の「灯り」。生活感を美しく隠す、多機能「行灯タワー」の正体
こんにちは、姫路市の注文住宅、エーディーハウスの堀江です。
現在開催中の姫路市網干区の見学会（1/18まで）。 前回までは、リビング・スタジオ側からの視点で、没入感のある空間についてお話ししました。
今回は視点をぐるりと180度変えて、「玄関ドアを開けた瞬間」の景色から、この家のもう一つの主役についてお話ししましょう。
玄関に入るとまず目に飛び込んでくるのが、大きく優しく灯りを放つ「行灯（あんどん）のようなタワー」です。 凛とした佇まいで、帰宅を優しく出迎えます。実はこのタワーのイメージは地下鉄丸の内線銀座駅を歩いているときに閃いたもので、紫に光るの照明塔からのインスピレーションです。和のテイストにしたのは、お客様の趣向と家全体のコンセプトから想像したものです。
前回のブログでは、空間のアクセントとなる「時計塔」としてご紹介しました。しかし、実は単なる照明器具や飾り棚ではありません。 暮らしのノイズを消し去り、相反する作業を同時に叶える「機能」を内包した、この家のコントロールタワーなのです。
1. 玄関からキッチンを隠す、光の「境界線」
このタワーの最大の役割は、玄関と奥のキッチン・ダイニングを緩やかに、しかし確実に仕切ることです。
壁で完全に塞ぐのではなく、タワーとして独立させることで、視線だけを遮りながらも光は通します。 来客時には、奥のキッチンの生活感や雑多な様子をこのタワーが隠してくれるため、急な来客でも慌てる必要はありません。
さらに、天井に向かって光を放つアッパーライトを仕込んでいます。 高さ3メートルある天井の板張りを光が優しく舐めるように照らし上げることで、玄関に入った瞬間に圧倒的な開放感と、包み込まれるような安心感を演出。「光の境界線」が、外の世界とプライベートな空間を美しく切り替えます。優しく灯る大きさが必要です。
2. 裏側はクールなコックピット。調理カウンターとPCが共存する「段差5cmの棲み分け」
タワーの裏側、つまりキッチン側にも、驚きの機能美が隠されています。 ここでは、「仕事（PC）」と「家事（調理）」という、本来相性の悪い2つの作業が完全に共存しています。
作業台のグレーの天板には、水濡れや汚れに強く、高級感のある「シーザーストーン」。 そして、その手前には「ウォルナット無垢材のカウンター」を設けているのですが、ここにはあえて「5センチの段差（厚み）」をつけて一段高くしています。
この「5センチ」が、生活を劇的に変えます。 一段高いウォルナット側は、ノートPCや資料を置くワークスペース。一段低いシーザーストーン側は、調理や洗い物をするスペース。 物理的な段差があることで、調理中の水や汚れがPCエリアに侵入するのを防ぎます。
つまり、「PCを置きっぱなし、資料を広げっぱなし」にしながら、すぐ横で夕飯の支度ができるのです。 いちいち片付けなくていい、互いの領域に干渉しない。 「広げっぱなし」が許される環境こそが、忙しい現代人のストレスを解放してくれます。
そして、作業の手を止めてふと顔を上げると、そこにはタワーの上部に掲げられた時計が目に入ります。 キッチン側から見上げるその姿は、まるで家事や仕事の時間を刻む「時計塔」。 忙しい朝も、ゆったりとした夜も、このタワーが生活のリズムを整える司令塔として、この家の顔となっています。
美しさと機能は矛盾しない
「おしゃれな家は住みにくい」 そんな言葉を聞くことがありますが、私たちはそうは思いません。
この「行灯タワー」のように、生活に必要な機能（目隠し、PC作業、調理）を、意匠（デザイン）の中に溶け込ませることこそが、腕の見せ所です。
生活感を消しながら、使い勝手は抜群。 そんなあるわけない仕掛けを、ぜひ見学会で実際に体感してください。 「えっ、こんな役割があったの」「この段差、すごく便利そう」と驚いていただけるはずです。