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一級建築士 匠の視点 ブログ

2025.10.10更新

1枚の写真で語るシリーズ.6

「考え抜いた配色と上質感」

洗練されたグレー床と黒でまとめた空間に、どんなキッチンタイルを合わせるか。

この写真は、とても好きな配色です。
大切なのは、グレーシックなと、キッチン背面タイルの木目がつくる静かな背景。
緊張感が欲しいために、長尺タイルは縦張りで通しています。
黒は輪郭を引き締めるフレーム。そこへ、うっすらと流れる木目のタイルが、
いわゆる“木の黄味”ではない柔らかなグレーの温度を添える。
どちらか一方が強すぎると途端に野暮ったくなりますが、この組み合わせは本当に絶妙でした。

実はこの木目タイルは、残念ながら現在は廃盤
代替を探していますが、似た雰囲気でも、あの微妙な色の濁り具合控えめな艶まで同じものはなかなか見当たりません。
写真の静けさは、その「ちょっとだけ抑えた」質感から生まれています。

背面タイル選びは、照明との相性で表情が大きく変わります。
特にこの空間で避けたいのは、タイル表面がテカりすぎて照明が鏡のように映り込む状態。
私たちはいつも、艶を“ほんの少しだけ残す”ところで止めるようにしています。
そのほうが金属天板の微光沢ともぶつからず、全体の落ち着きが保てます。

新築時点では、素材は、カーテンも含め、グレー/白/黒で構成されるため、やや無機質に見え、寂しく感じる瞬間もあります。
そこで家具は木肌色を想定。後から入る木のトーンで、シックな空間にほんの少しのやさしさを足す設計です。

黒は空間を支える土台、タイルは雰囲気を決める表情
どちらも強すぎず、半歩だけ引いてくれる素材が、美しい日常をつくります。
いまは、次に備えて代替候補を検証中。
写真の静けさを保つ色と艶に、引き続きこだわって選んでいきます。

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