
2025.11.01更新
インテックス大阪、建築不動産へ
数年ぶりに、インテックス大阪の建築不動産展へ足を運んだ。以前大阪のCLTセミナーで知り合った滋賀の建築会社の方といっしょに参加した。
私自身は、コロナを経て初めての参加で業界の空気がどう変わったか、肌で感じたいという思いもあった。
しかし、会場を巡り始めたら期待は、良くも悪くも裏切られた。
率直に言って、素材や設備の「実物」展示が驚くほど少ない。ブースの多くを占めるのは、「業務DX」「AIによる効率化」といった文字。もちろん、それらが現代の建築実務に不可欠なのは重々承知している。だが、私たちが扱うのは、あくまで物質(マテリアル)であり、空間だ。その手触りやスケール感、ディテールが感じられない展示には、正直、物足りなさを禁じ得なかった。
これでは、春の東京ビックサイトまで足を伸ばすしかなさそうだ。

そんな感想の中で、いくつか目を引く一角があった。CLTや、中規模の木造耐火建築のブースだ。
4階建て以上になれば、木造であろうと耐火性能は避けて通れない。近年、RC造のコストが常軌を逸して高騰していることもあり、投資家たちも集合住宅やオフィスビルを木造で、という視線を持ち始めている。
面白いのは、中規模をCLTで考えたり、流通材を工夫して8層の建物だったりとアイデアはすごい。近年CLTだけで成立させるより軸組み+CLTという組み合わせでコストを下げる工夫が多くなった。
これらの展示で得た収穫は大きかった。集合住宅でも、音対策もLL55を達成し、耐震等級3も確保しているという。技術的なハードルは着実にクリアされつつある。
何より良かったのは「減価償却」の話だ。 木造は法定耐用年数22年だが、「高耐久認定」を取得することで、RC造と同じ47年を選択できるという。
個人住宅以外の建築物はほぼ、ビジネスである。
投資家にとって 立ち上げ期は長く償却(47年)してキャッシュフローを安定させ、ビジネスが軌道に乗れば短いスパン(22年)で償却し、利益を圧縮しながら次の投資へ回す。そんな柔軟な経営判断に、建築が応えられる。これは、鉄骨やコンクリートにはない、木造ならではの強力な武器になる。
いつか、この流れで中規模の木造を手がけてみたい。 と準備は万全にしておく。
次回は、数少ない展示物から、今後、いやすぐに取り入れたい建材を紹介します。