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2019.01.20更新
体内時計とあかりの話
体内時計に合わせた色温度のあかり
人は日の出と共に活動が始まり、日没から夜に向かって徐々に動きがゆっくりとなり、休息に向かうリズムで生活しています。体内リズムは太陽光と深く関係していて、心身のバランスを整えるためには室内のあかりは出来るだけ自然光に添ったものが望まれます。
太陽の光の色は時間と共に変化し、朝は黄味の強い赤、次第にオレンジから黄色、正午ごろは白や青色に近いものとなり、日没に向かうとまた赤味を増していきます。赤味のある光を「色温度が低い」、白っぽい光を「色温度が高い」という言い方をします。色温度の低い赤い明かりはゆったりと落ち着いた雰囲気をつくり、色温度の高い白い光は活発で緊張感のある印象を与えます。色温度の低いあかりとは主に白熱灯、色温度の高いあかりには蛍光灯が挙げられます。
オフィスなどは人がてきぱきと仕事をする場所ですから、色温度の高いあかりが一般的ですが、ゆっくり落ち着きたい場である家庭に白すぎる照明は避けたいところです。特に天井に蛍光灯が一灯というパターンは、スイッチ一つで点灯ができて便利なように思えますが、明るさと暗さの差が極端になるので神経がうまく休まりません。日没の太陽の光のように、夜はあたたかな色のあかりに包まれて、おやすみの頃にゆっくり消灯していく。そんなあかりがある住まいがやすらぎをもたらします。
沢山の漂うあかりで部屋を美しく
夜が長く、室内で過ごす時間が多い北欧はあかりの使い方が本当に上手です。ひとつの部屋にたくさんのあかりを設けることが一般的で、必要に応じて点灯と消灯を組み合わせ、部屋の雰囲気を変えて暮らしを楽しんでいます。あかりの変化が居心地を左右するだけでなく、まるで模様替えしたかのようにインテリアも一新できることをよく知っているのです。ホテルなどは一室多灯のよい例で、蛍光灯の明るさに慣れてしまった日本人にとっては暗いと思えますが、どこか素敵だと感じるとも思います。スポットの光で照らされた所とスタンド照明でできた影など、陰影があることで部屋には奥行きが生まれ、昼間とは違うゆたかな表情が加わります。また、落ち着く空間とはあの程度のあかりで十分なのだ、ということが分かると思います。読書や手作業などをする時はその場所を照らせばよく、部屋全体を明るく均一に照らす必要はありません。適度な場所に、適当な光を配置することが大切です。ただ、急に一室多灯と言われても現実的に難しい、やり方も分からないという方がほとんどですから、新築やリフォームの際に照明計画を組み入れることがお勧めです。配置計画はもちろん、照明器具のデザインもインテリアを構成する重要な要素となりますから、細やかに選定してご提案します。ただひとつ注意する点は、一室多灯は色温度の高い光では成功しません。白い光は間引き点灯などで明るさが低下すると、部屋全体が冷たく、陰惨な感じを与えるようになります。